入居者さんが優先される施設へ
藤重貴子(平成22年入社) 所属:のんびり村 今津(特定施設)

DTに出会ったのは6年ほど前です。その前と後では、考え方も仕事の進め方も、まったく違っています。この仕事は本来、介護される人の気持ちが優先されるはず。なのに、介護する側の都合を優先していたんです。追い立てられるような毎日だから、無理もないことかもしれまん。でも今は、業務の忙しさは同じだけど、入居者さんが最優先です。

「死にたい」願望の克服

ある100歳を越えた女性がいらっしゃいます。「私は生きていても仕方ない」とつぶやく毎日を過ごされていました。以前の私だったら、業務の間にちょっと声をかけるくらいだったと思いますが、DTを学んだ私は違いました。
日常の業務を工夫によって早めに切り上げると、その女性とお話しする時間をつくりました。すると、若いころに俳句を楽しんでいたことを知り、ひらめきました。「俳句の会を作ろう!」。しかも、目標は新聞の投稿欄に載ること。
DTワーカーの研修では、入居者さんが社会との関わりを持つことがいかに大切なのかを学びます。もし、たくさんの人が見る新聞とのつながりが持てたとすれば、これはすごい励みになるはずです。
結局、新聞に載ることはありませんでしたが、句を詠んで投稿する過程を通じて、いつの日かその女性には笑顔が戻っていました。いろんなスタッフと語り合った時間が、そうさせたのでしょうか。「あと2年はがんばるよ!」という力強い言葉まで飛び出すようになりました。

今度は、スタッフの考え方を

過去の自分がそうだったように、新しく入ってくる後輩スタッフの多くはやはり、業務を優先しがちです。だから今は、その考え方を入居者さん優先へと振り向けることに努力しています。どうすれば、入居者さんとじっくり話をする時間を捻出できるのか。色々な業務改善に取り組み、試行錯誤を繰り返す毎日。でも、その努力は無駄ではないと確信が持てます。だって、入居者さんの笑顔が日に日に増えているって、実感できているからです。


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