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寒さの中にも、春を感じて。

のんびり村には、定期的に日本ダイバージョナルセラピー協会の理事長、芹澤先生が来られ、直々にソナス・セッションを開催して下さいます。

今回のテーマですが、まだまだ寒い日が続く中、それでも自然の中には春を感じさせてくれる物が数多くあり、その「この次期ならではの季節感」を室内でいかに再現し、感じていただくか、という物でした。

もちろん、大自然に恵まれた米川です。一歩外に出れば簡単にそういうものは感じていただけるのですが、ご高齢で、更に健康状態に不安を持たれた利用者様に、この「寒さ」を実際に感じていただく事は出来ません。

ですので、実際に氷の粉(雪に見立てて)にフキノトウやタラの芽を埋めて、それを触り、掘り出していただく事で、その冷たさ、そして、その冷たい雪の中で温かい春を待つ植物の息吹を感じていただきました。

昔は、どこにでも生えていたフキノトウも、今はすっかり目にすることが無くなってしまい、このフキノトウを観るだけでも喜んで下さる利用者様もおられました。

「冷たいねぇ」「ひやい、ひやい」という声と、懐かしそうに植物を手に取って観られる利用者様の表情。狙い通りの「季節感」を感じていただけたでしょうか。

そして、3月は「おひな祭り」もあります。

男性職員にお内裏様、利用者様にお雛様。それぞれ仮装していただき、「原寸大」の雛人形を作りました。

「お雛様」の周りを演出する「花」を、他の利用者様に生けていただきました。

菜の花に、梅の花、チューリップ等、これも「この季節ならでは」の物を用意させていただきました。

おひな祭りじゃなくとも、お花は大好きな利用者様。それを手にされるだけでとても表情が活き活きとされ、大切そうに、丁寧に生けて下さいました。

ちょっと照れくさそうなお内裏様とお雛様。そして、自分達で生けたお花。とっても素敵な雛人形の完成です。

セッションの締めは、全員で春の歌の合唱。ここまでの過程で、気持ちがすっか春めいた利用者様。表情も明るく、いつもより声も弾まれていたように感じられました。

施設で「季節を感じていただく」事は、簡単なようでなかなか難しい物があります。特に、寒い時期・暑い時期は、利用者様の健康状態に大きく影響が出てしまうため、なかなか外出して、直に味わっていただく、という事が困難になってしまいます。それでも、こうして工夫を凝らす事で、室内に居ながらにしてそれを感じていただく事が出来ます。

今回の準備は、これまでになく難しかったように思います。それは、ただ用意するだけではなく「どうすれば、目標とする感情を持っていただけるか」を考え、綿密に計画を練った上で準備しなくてはならなかったからです。私自身は、今回は関わっていないのですが、素晴らしいアイデアだったように思います。

芹澤先生、参加されたスタッフの皆様、お疲れ様でした。ありがとうございました。