利用者様同士の友情

私達が介護に関わる上で、非常に嬉しく感じる事のひとつに、ご家族から「のんびり村にきてから、ほんとうに表情が穏やかになりました」「笑顔がたくさん見られるようになりました」等の言葉をかけていただける、というのがあります。利用者様に、いかに楽しく、心地よく過ごして頂くかでDT等取り入れて日夜努力して行く中で、ご家族からのこのような言葉は、我々にとって励みになり、仕事に対して高いモチベーションを持つ事への糧となってくれます。

ただ、利用者様が毎日楽しく、穏やかに過ごして頂く為に、もしかしたら職員との関わり以上に大切なのが利用者様同士の関係です。

この利用者様は、ご家族からプレゼントしていただいた、この赤ちゃんの人形を大変大切にされ、いつも抱いておられます。そして、この利用者様と仲良しの利用者様が、あるときから編み物をはじめられました。

最初は、「何を作られているのだろう・・・」と疑問に思いました。大きさといい、形といい、その用途が解らなかったのです。

が、ある日、あの赤ちゃんの人形を大切にされている利用者様の入浴中、その答えが解りました。

「ちょっと、たーたん(赤ちゃんの人形の名前)持って来て」

そうです。この利用者様は、赤ちゃんの人形のマフラーを編んで下さっていたのです。「まだまだ寒いからね、この子は男の子でしょ?」

そういいながら、また黙々と編み物を続けられました。

そして、ある日の午後、マフラーは完成し、プレゼントされました。

それはもう、大変喜んで下さいました。「ありがとうねえ、ありがとうね」

何度も繰り返され、見ているこちらが泣きそうになってしまいます。マフラーを編まれた利用者様も、その喜ばれている様子を見て、大変嬉しそうにされていました。

利用者様同士、特にグループホームや、連続で宿泊されている利用者様同士の関係、というのは、のんびり村で毎日過ごしていただく上で、大変重要な事のひとつです。こうやって、利用者様同士が良い関係を築いていってくださると、我々も大変嬉しく感じます。

利用者様の感情の、我々スタッフではなかなか入っていけない部分にも、利用者様同士ならすんなりと入り込まれて、不穏が治まって笑顔になられたり、帰宅願望が緩和されたり、助けて頂く事が何度もあります。

のんびり村米川は、本当にご家族の訪問の多い施設で、来て頂く度に「お世話になります、ありがとうございます」という言葉をかけて頂くのですが、もしかしたら、利用者様の良い表情の裏側にあるのは、利用者様同士の友情、なのかもしれません。

その「友情」を深め、広げて、少しでも楽しく、充実した日々を送っていただけるよう、チカラになって行きたいと思います。