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おばあちゃんの帰宅

のんびり村米川には、開業当初より利用していただいている今年で98歳になられる利用者様がおられます。

この利用者様は、「むしろ」の手編みの名人で、伝承者でもあり、米川では知る人ぞ知る方で、「米川のおばあちゃん」的な存在です。のんびり村に来られる自治会の方々にも「ばあちゃん、元気かい?」と、何人もの方に声をかけられる存在。

そんな利用者様なのですが、昨年、今年になって入退院を繰り返され、一時は本当に弱っておられました。

最近になって、また以前の様にしっかり食事も摂られ、体力もだいぶ戻ってこられたご様子。気候もだいぶ良くなってきましたので、ご実家への外出を企画しました。実は、この利用者様のご自宅は、米川町内ではあるのですが、「西谷」という地区で、狭い山道をかなりの距離奥まで入って行く必要があります。時間もかかりますし、なかなか実行出来ずにいたのですが、昨日、時間と人員を調整し、やっとご自宅へ帰っていただく事が出来ました。

息子さんが暖かく出迎えてくださいました。それはもう、大変喜んで下さり、「もうここで母と会う事は無いと思っていました。ありがとうございます」と。そして、この利用者様ご自身も、もう施設ではほとんど会話もなさらず、もしかしたら意思疎通が出来ない、会話も出来ない様な身体状況なのかも、と考えてしまう程の状態だったのですが、普段からは想像もできないくらいの言葉が出てくる出てくる!同行した職員もびっくりです。

「仏様に詣りたい」と、自ら望まれ、しっかり拝んでいただきました。少し長い時間、ご先祖様と会話をされておられたようでした。

息子さんと、写真を見られ、ご兄弟やお子さんの名前をしっかり口にされ、ここでも、しばらくじっとこの写真を見つめておられました。

ご近所の方も会いに来て下さり、改めてこの利用者様の存在の大きさを感じました。何より、施設に帰られてからの活気のある表情に、これからも帰宅の機会を作っていかなくては、と感じました。

ご家族との調整等、事情が許されない場合もあるのですが、やはり「自分の家」というのは絶対的な場所であり、今回のような外出が利用者様にとっていかに大きな事であるかを感じました。

グループホームや、小規模で連続宿泊されている、なかなか帰宅の機会の無い利用者様に、少しでも多く「家で過ごす時間」を感じて欲しいと思います。限られた人員、限られた時間の中ではありますが、なんとかやりくりして実行して行きたいと思っております。