入居者さんが教えてくれたDT
河口美千子(平成23年入社) のんびり村 米川(小規模多機能・グループホーム)施設長

もともと、入所者さんへの思いやりの気持ちは、人一倍ある方だと思っていました。
でも、それは本物ではなかったって、気づいたんです。

ある女性の入浴で

数か月、別の施設に勤務して戻ってきたときのことでした。前と同じように、ある女性をお風呂に入れようとしたんです。その方は二人がかりでやっとお風呂に入っていただける方。でも、私はその方への声掛けをよくしていたからか、一人でケアすることができていました。しかし、久しぶりにお風呂に連れて行き、服を脱がそうとしたとき、「何をするの!」って大騒ぎになってしまったんです。
びっくりするし、慌てるし、悲しい気持ちにもなりました。どうしてだろう、前と同じようにしているのに、私の言うことを聞いてくれなくなってしまった。
そのとき、研修で学んだDTのことを思い出しました。相手を思いやる気持ち、人として尊重する気持ちの大切さ。頭ではわかっていたつもりでしたが、実際にはできていなかったんです。
それからは、時間を割いて、その女性と会話をするようにしました。また、ご家族にも会ってどんな方だったのかを調べるアセスメントも。そして気づいたんです。「ああ、あの方も、お母さんだった。懸命に子育てして、そして今…」。
私は初めて、心から彼女のことを尊敬し、愛おしいとも感じるようになりました。そしてある日、すごい出来事が起きました。
私は一人で彼女をお風呂へ連れて行きました。服を脱いでバスタブへと導き、手すりへと手をとり、「ここを持っておいてね」と言って、体を抱きかかえようとしたときです。彼女は「こう?」って聞きながら、自分でまたいでバスタブへ入ったんです。それはもう奇跡のような出来事です。驚きとともに、じんわりと嬉しさがこみあげました。

DTを「きれいごと」だと言う人もいます。でも、私はDTに出会えて本当に良かった。そして今、DTをスタッフに伝えようとしています。どのスタッフにも、私と同じような体験が必ず待っていると思うから。


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